「社会的証明の原理」とその落とし穴

以前、人は無意識のうちに周囲の人の行動に従っているというお話を書きました。このような状態を心理学では「社会的証明の原理」と言います。

例えば、テレビショッピングなどで「こちらの番号にお電話ください」と案内する際、「お電話が混み合って繋がりにくい場合あります。オペレータにつながらない場合は、恐れ入りますが繰り返しお電話ください。」という一文を入れると、それだけで売上が伸びると言われています。

それは聞き手の脳が本能的に、「電話がつながりにくい」=「“みんな”が電話している」⇒「自分も買わなきゃ!」と感じてしまうからです。もちろん、そのテレビショッピングを見ている人全員がそう思うわけではありませんが、何%かの人は確実にその心理状態に陥り、電話を掛けてしまう。これは、数多くの心理学界における実験で証明されている事実です。

さて、そんな「社会的証明の原理」ですが、これは多数派というか、一般的だと思われる意見に影響を受ける人が多いということを意味します。

だから、例えば公園の注意書きに「最近、公園内にゴミを放置する方が増えています。ゴミは各自持ち帰ってください!」と書いたら、逆にゴミが増えてしまったなどという例が多々聞かれますが、これは「公園内にゴミを放置する方が増えている」=「ゴミ放置がスタンダード」と多くの人が無意識に感じ、「まあ、いいか!」という心理になる人が増えるからなのです。

もちろん、道徳的に行動する人もたくさんいますから、みんながそれに影響されるというわけではありませんが、「無意識」のうちに思い込んでしまうというのが悪い結果を増長することにつながるのです。

だから、公園のごみを持って帰ってほしい場合は、「ゴミを放置しているのがごく少数の限られた人達だ」と感じさせるようなメッセージ―例えば、「いつも公園の美化にご協力頂きありがとうございます」などにすれば効果的です。

汚くなってるのに?と思われるかも知れませんが、むしろ、そんな中でも綺麗にしてくれる利用者に感謝するというのが良い結果につながるのかもしれませんね。