経営者が今すべきこと③

経営者が今すべきは「資金繰りの確保」「メンタルの安定」だというお話をして来ました。
しかし、コロナ終息後の事業展開を見据えて、まだしなければならないことがあります。

それは既存のお客様とのつながりの強化です。

一般に、新規顧客を獲得するには既存顧客の維持に掛かる5倍のコストが必要だと言われます。
すなわち、コロナが終息し事業を再びフル稼働できるようになった時に既存のお客様が離れてしまっていれば、新しいお客様を獲得するために大きなコストが必要だということに繋がるのです。

そうならないため、今はたとえ、直接の収益に繋がらなくてもいかに既存のお客様とつながれるかが大切なのです。

バブル崩壊後、グローバルスタンダードが持て囃され、欧米式の合理化、効率化こそが不況下で日本企業が生き残る唯一の術のように思われて来ました。
しかし、それから30年近くが経過し、それが逆に日本企業を疲弊させる結果に繋がったことは周知の事実です。(まあ、まだグローバルスタンダード信仰から抜け出せていない人は多々いますが・・・)

なぜそんなことになってしまったのか?
グローバルスタンダードでの合理化、効率化の何が問題なのか?

それは、「短期的利益」すなわち「目先の利」に固執して、長期的ビジョンを描かないまま「(短期的)利益に繋がらないもの」を切り捨ててしまうやり方だからです。

これは例えると、目の前に落ちている10円を拾うのに必死になり、10メートル先に1万円が落ちているのに気づかない、あるいは10円を拾うためにいろいろやった結果、10メートル先の道路がくずれて1万円が拾えないところに落ちてしまうというようなものです。

そんなバカな話はありません。
目先の利を追求した合理化、効率化はまさに「(目先の)得をして(長期的には)損を取る」という愚行。。。

確かに、今将来が見通せない中で(目先の)収益につながるわけでもないのに既存顧客とのつながりを強化するのはコストがもったいないと思う人も少なくないかも知れません。
しかし、1年後、2年後、3年後、5年後、10年後、大きな収益に繋がれば結果オーライだと思いませんか?

特別融資制度やセーフティネット保証を活用して資金繰りの手当てをすべき!と口酸っぱく言うのは、そういう活動を財務的に、経営者のメンタル的に余裕を持って行える環境を整えるためです。

苦しい時期である今こそ「損して得取れ」を実践できる経営者、企業がポストコロナ時代に成長して行ける存在になるのだと確信します。